このたび、写真家・蓮井幹生氏による個展「朽ちゆく果てにも美は宿る」を東京・青山、福岡を巡り、石川県小松市の「錦山窯ギャラリー嘸旦」にて開催いたします。
本展は2024年元日に発生した能登半島地震で被災した九谷焼窯元「錦山窯」の作品を題材にしており、破壊の中に生まれる新たな美を捉えた写真作品17点を展示いたします。
展示初日の5月17日(土)は蓮井氏を囲み、鎌倉「enso」の藤井匠シェフによるダイニングイベントを開催いたします。今回は、ensoならではの自家製発酵食材と調味料を使用したお料理をお楽しみいただきます。
能登半島地震復興支援 蓮井幹生+錦山窯コラボ展
「朽ちゆく果てにも美は宿る」
会期:2025年5月17日(土)〜31日(土)
会場:錦山窯ギャラリー 嘸旦
住所:石川県小松市高堂町ト-18
蓮井幹生は数年前に知り合った〈錦山窯〉四代・吉田幸央と妻るみこから被災状況を聞くに及び、破損した九谷焼作品の撮影を申し出ます。
「九谷焼の名工である錦山窯の名作が自然災害で破壊されたことはショックであると同時にそのものを私は美しいとさえ感じた。人間は物を作り、そこに美をまとわせる。壺や器ならば美は不要ともいえるが、どうしても美をまとわせる。人間こそがもつ美学なのだろう」
同氏は、2011年の東日本大震災でいち早く復興支援で現地入りした経験があります。支援活動の合間に瓦礫と化した景色を撮影するなかで「それまで体験したことのない状況に大きな恐怖とともに、未知の美意識の認識を感じた」といい、あらゆるものを一瞬にして崩壊へと向かわせる自然の摂理、それでも美を求めてやまない写真家としての性に残酷さを痛感したと話します。
常々「写真は記憶である」とする蓮井。今回は、これまでのアートワークとは一線を引き「記録」することを念頭に撮影に取り組みました。1億画素の超高画素センサーカメラで撮影された写真はアーカイブであると同時に普遍なる美が写し取られています。
本展は能登半島地震復興支援のための特別展でもあり、作品売上の一部が復興支援に寄付されます。
-YUGEN Gallery ステートメントより–
[ 蓮井幹生 / Mikio Hasui ]
写真家。1955年東京都出身。アマチュア写真家の父親の影響で幼少の頃から写真を始める。明治学院大学社会学部社会学科を中退後、アートディレクター・守谷猛に師事。アートディレクターとして広告やレコードジャケットを多く手がける。30歳の頃より写真を独学し、1988年の個展開催をきっかけに写真家となる。新潮社の雑誌『03』はじめ著名人のポートレイト作品で注目を集め、ファッション、ドキュメンタリーと幅広い分野の撮影を手がける。2000年頃からはムービー撮影も行い、PVやCMの作品多数。作品はフランス国立図書館、東京工芸大学写大ギャラリーに収蔵されている。