2026年、錦山窯(きんざんがま)は開窯120周年を迎えました。
本展「旦 ASHITA」は、錦山窯のあゆみと次の百年へ向けた思いを形にするとともに、𠮷田幸央のこれまでの軌跡と現在地を紐解き、未来へ向けた一歩を踏み出すものです。
会場となる「AXIS ギャラリー」は、1981年の誕生以来、デザインとテクノロジーの交差点として多様な活動を展開しています。伝統工芸という言葉の枠を軽々と飛び越え、これからも続いていくための表現の手助けとして、新しいものを積極的に取り入れることに躊躇しない——この姿勢を、45年にわたりデザインの未来を問い続けてきた場所から発信することに、大きな意味があると考えています。
受け継いだ型を守るために破り、残すために離れる。時代を超えて残る普遍性と、真の革新。錦山窯の原点とこれからの姿が、ここに現われています。
本展のステートメントは、山崎円城氏の詩作品「変わらないでいるために、変わる」への応答から生まれました。
「変わり続けるために守り」という一節には、錦山窯が120年にわたり培ってきた、継承と更新への意志を重ねています。


ソニーコンピュータサイエンス研究所(ソニーCSL)アレクシー・アンドレ氏との共同プロジェクト「Creativity Acceleration(創造性の加速)」の研究を通じて創出されたシステム「Tomonami(トモナミ)」を活用し制作した作品群。テクノロジーと伝統技法の新たな接点と可能性を探ります。
About TOMONAMI →2025年10月、ギャラリー「嘸旦」で開催されたライブセッションを機に始まった、アーティスト・山崎円城氏との異分野コラボレートワーク。約半年間にわたるレジデンス制作を経て誕生した作品を発表いたします。


2026年10月9日(金)|予約・入替制
開催にあたり、未来の伝統へと躍進する作品の数々を皆様にお披露目いたします。つきましては、ささやかではございますが、下記の日程にてレセプションパーティーを開催いたします。当日は、過去にダイニングイベントを行うなど、かねてから錦山窯との親交が深い「enso hanare」の藤井匠シェフによるフードプレゼンテーションもございます。

2026年10月10日(土)
錦山窯四代目当主・𠮷田幸央と、ソニーコンピュータサイエンス研究所(ソニーCSL)のアレクシー・アンドレ氏が、両者の協業から生まれたシステム「Tomonami(トモナミ)」を起点に語ります。テクノロジーが切り拓く表現と、熟練の手技に支えられた身体表現。そのあいだに立ち現れる新たな表現の可能性を探るトークセッションです。
本展のもう一人のコラボレーターであるアーティスト・山崎円城氏によるサウンドインスタレーションを開催します。九谷の地に流れる時間を宿した器に呼応するように、言葉と音による静かな音像が展示空間に立ち上がります。

錦山窯 四代目当主
1960年、石川県小松市生まれ。九谷焼上絵付を専業とする錦山窯の四代目当主。人間国宝・𠮷田美統(三代)のもとで研鑽を積み、伝統技法「彩色金襴手」を継承しながら、金彩表現の可能性を追求し続けている。国際陶芸ビエンナーレ特別賞(1999年)、日本伝統工芸展高松宮記念賞(2010年)など、国内外での受賞歴があるほか、ヴィクトリア&アルバート博物館、インディアナポリス美術館、国立工芸館、宮内庁などに作品が収蔵されている。2023年より、ソニーCSLとの協業「TOMONAMI」を始動。異分野との対話を通じ、120年の技を次代へ繋ぐ。
音楽家(F.I.B JOURNAL)/詩人/タギングアーティスト
1970年、神奈川県川崎市生まれ。10代より独学で音楽活動を始める。96年リトル・クリーチャーズの栗原務らと組んだユニット Noise On Trash でデビュー。2003年ファッション誌「commons & sense」とのコラボレーションをきっかけに F.I.B JOURNAL としての活動を開始し、現在に至るまで「ジャズパンク」と称される作品を多数発表する。音楽活動のかたわら、詩人としても活動。グラフィティやタギングなどの手法を用いた作品発表も精力的に行っている。
http://madoki-yamasaki.org/Sony CSL Researcher
アレクシー・アンドレは最新のデジタルメディアを応用することで、これまでにない創作活動を探求しています。彼は、創造のプロセスそのものをアートとして捉え、クリエイターはこのプロセスとのインタラクションに焦点を当てているのだというアイデアに基づいています。彼の包括的なテーマは、デジタルネイティブにも関連する次世代のエンターテインメントを定義することです。彼の研究分野は、コンピュータ生成/支援アート、プロシージャルデザイン、コンピュータグラフィックス、HCI(ヒューマン・コンピュータ・インタラクション)、コンピュータビジョン、ゲーム心理学、ゲームデザインを含みます。彼の作品は山口情報芸術センター(YCAM)や国際学会 SIGGRAPH で展示されており、オープンリール・アンサンブルから三宅一生プロデュースの青森大学男子新体操部に至るまで、数々のアーティストらとコラボを行っている。ソニーの体験型トイ・プラットフォーム toio の発案者でもある。
Tomonami とは、ソニーCSL のアレクシー・アンドレ研究員が行っている「Creativity Acceleration(創造性の加速)」の研究から生まれたシステムです。創造性とは、「新しいアイディアを考えつく力」と「それらを評価できる力」の二つの要素で説明できるのではないかという仮説のもと、これらの能力の醸成をテクノロジーにより加速させることへの着眼から開発されました。対象アーティストにとって、意味のあるイメージを生成するためのオリジナルのルールをパラメータという形で独自開発のソフトウェアによるユーザーインターフェースに反映し、アーティストに創造性の探索空間を提供しています。